「ChatGPTから来た人は買わない」と思っていませんか。運営中のインバウンド向け予約サイトで90日分のGA4データを確認したところ、逆でした。
出典:Google Analytics 4 のデータを 2026年9月5日に取得(対象=運営中のインバウンド向け予約サイト、期間90日)。一次情報として社内の記録に保存しています。
結論:AI経由の成約率は自然検索の5.7倍
| 流入元 | セッション | 成約アクション | 成約率 |
|---|---|---|---|
| AI アシスタント経由 | 1,420 | 109 | 7.68% |
| リスティング広告 | 3,044 | 196 | 6.44% |
| ノーリファラー(直接) | 14,085 | 462 | 3.28% |
| SNS | 4,397 | 101 | 2.30% |
| 自然検索 | 31,682 | 429 | 1.35% |
直近28日で切り直しても AI経由 7.59% / 自然検索 1.72% と、ほぼ同じ差が出ました。期間を変えても数字が動かないので、たまたまではありません。
言い換えると、AI経由の1,420セッションが生んだ成約は、自然検索なら約8,000セッション必要な量です。同じ成果を出すのに、必要な集客数が6分の1で済んでいます。
ただしエンゲージメント率で見ると「質が悪い」ように見える
ここが今回いちばん重要な発見でした。まったく同じデータを、GA4の標準レポートでよく見る指標で並べ直すと、評価が逆転します。
| 流入元 | エンゲージメント率 | 平均滞在 | 成約率 |
|---|---|---|---|
| AI アシスタント経由 | 43.5% | 188秒 | 7.68% |
| 自然検索 | 51.8% | 165秒 | 1.35% |
エンゲージメント率では負けています。この数字だけを見て「AI流入は質が低い」と判断すると、成約率5.7倍の流入を切り捨てることになります。
エンゲージメント率は「10秒以上滞在したか」「2ページ以上見たか」などで決まる指標で、買う気があるかどうかとは別物です。AIの回答で概要を理解し、用件が決まった状態で来る人は、サイト内を長々と回遊しません。必要なページに直行して問い合わせて、離脱します。行動としては「直帰」に近い形になりますが、成果は出ています。
実際、平均滞在時間はAI経由の方が長い(188秒 対 165秒)という結果でした。短時間で離脱しているのではなく、読み込んだうえで動いているということです。
そもそも、AI経由は正しく数えられていないことが多い
ここから先は、実際に設定を触って分かったことです。
GA4には「AI Assistant」という標準のチャネルがあります。しかし調べてみると、AI経由の流入がそこに入りきっていませんでした。
- Perplexity・Copilot・OpenAI からの流入の一部が「Unassigned(未割り当て)」に落ちる
- Bing 経由は「Organic Search」に入る。Copilot の回答からの流入がここに混ざります
別サイトで実際に確認したところ、90日間で perplexity・openai・copilot 合わせて数十セッションが Unassigned に紛れていました(出典:GA4・2026年9月5日確認)。数としては小さくても、「AI経由が増えているか」を判断する土台が狂うのが問題です。
カスタムチャネルグループで取りこぼしを回収する
GA4の「カスタムチャネルグループ」を作ると、この取りこぼしを拾えます。しかも過去のデータにも遡って適用されるので、作った瞬間に今までの分も数え直せます。
作るときのポイントは3つです。
- AIのルールを一番上に置く。評価は上から順なので、下に置くと
chatgpt.comが「Referral」に吸い込まれます(chatgpt.com からの流入は medium が referral になるため) - 拾う対象を広く取る。chatgpt / openai / perplexity / gemini / claude / copilot に加え、you.com・Felo・Genspark なども対象に入れておくと取りこぼしが減ります
- Bing は分けて考える。Copilot 経由が混ざりますが、通常の Bing 検索と区別できません。ここを無理にAIへ寄せると、今度は過大評価になります
「コンバージョン0」と表示されていたら、設定を疑う
もうひとつ、実務でよく見る落とし穴があります。
今回調べたサイトでは、GA4の標準レポート上、すべてのチャネルでコンバージョンが0件と表示されていました。しかし実際には、問い合わせや予約導線のクリックイベントは記録されていました。原因はキーイベントの指定が1つもされていなかったことです(出典:GA4・2026年9月5日確認)。
イベントは飛んでいるのに、それを「成果」として登録していない。この状態だと、どんなレポートを開いても成果はゼロに見えます。
注意点として、キーイベントの指定は遡及しません。指定した日以降のデータにしか反映されないため、過去分を評価したい場合はイベント名で直接集計する必要があります。今回の5.7倍という数字も、その方法で出しています。
順位は取れているのに、クリックが増えない
心当たりはないでしょうか。検索順位は上がっているのに、クリック数が伸びない。あるいは検索順位6位のページが、1件もクリックされていない。
それは順位の問題ではなく、検索行動そのものが変わったことの表れかもしれません。10本の青いリンクを見比べる行動から、AIの回答を読んで完結する行動へ移っています。
この変化に対して、順位をもう1つ上げる作業は効きません。必要なのはAIに引用される形に書き換えることです。
AIに引用されやすい記事の条件
AIは、読み手の質問に答えられる形の文章を引用します。順位を上げるための書き方とは、必要な作業が違います。
- 結論を先に書く。前置きが長い記事は、引用される部分が見つかりません
- 定義を明示する。「◯◯とは、〜のことです」という形の一文があると、そのまま引用されます
- 数字に出典を添える。出典のない数字は採用されにくくなります
- 1つの見出しに1つの答え。見出しと中身がずれていると、部分的に切り出せません
- 表で整理する。比較や条件は、文章より表の方が引用されます
これらは読者にとっても読みやすい形です。AI向けの小細工ではなく、単に構造が整った文章を書けばよい、というのが今のところの結論です。
まず何から手をつけるか
- 自社サイトにAI経由がどれだけ来ているかを確認する。GA4の「セッションの参照元」で chatgpt.com・perplexity.ai・gemini.google.com を探せば、今日わかります
- Unassigned の中身を見る。AI経由が紛れていないか確認します
- キーイベントが指定されているか確認する。ここが空だと、そもそも成果を測れていません
- 評価指標を成約に変える。エンゲージメント率で判断すると、AI流入は過小評価されます
- 主要ページを引用されやすい形に直す。新しい記事を増やすより、既にある記事を直す方が早く効きます
計測の確認から相談できます
「自社サイトにAI経由の流入がどれだけ来ているか」は、GA4を見れば今日から分かります。設定が正しければ、の話ですが。
今回のように、イベントは飛んでいるのに成果として登録されていない、AI経由が別のチャネルに紛れている、というケースは珍しくありません。まず現状が正しく取れているかの確認から対応しています。お気軽にご相談ください。