中小企業新事業進出補助金とは?制度の概要
中小企業新事業進出補助金は、中小企業・小規模事業者が新たな事業分野への進出を行う際の設備投資等を支援する補助金制度です。旧「事業再構築補助金」の後継として2025年度に創設され、中小企業庁が所管、中小企業基盤整備機構(中小機構)が事務局を務めています。
ポストコロナ・物価高騰等の環境変化に対応し、既存事業に加えて新たな収益の柱を構築したい中小企業にとって、最も活用しやすい補助金の一つです。
2026年度にはものづくり補助金と統合され「新事業進出・ものづくり補助金」となる予定で、現行制度での公募は残りわずかです。本記事では最新の公募情報から、補助額・申請方法・スケジュールまで詳しく解説します。

補助額・補助率
補助金額
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 補助下限額 | 750万円 |
| 補助上限額 | 従業員数により異なる(数千万円規模) |
| 基本補助率 | 1/2 |
| 特例補助率 | 2/3(地域別最低賃金引上げ特例適用時) |
補助下限額が750万円のため、ある程度の規模の設備投資を行う企業向けです。小規模な投資であれば、IT導入補助金や省力化投資補助金(カタログ注文型)の方が適している場合もあります。
補助対象経費
- 建物費:新事業のための店舗・工場の改装、新設
- 機械装置・システム構築費:生産設備、AIシステム、IoT機器等
- 技術導入費:ライセンス、特許導入費用
- 外注費:システム開発、設計、施工の外注費用
- 専門家経費:コンサルティング費用
- クラウドサービス利用費:SaaS、IaaS等のクラウド費用
- 研修費:新事業に必要な従業員研修費用
- 広告宣伝・販売促進費:新事業の宣伝に必要な費用
対象者・申請要件
対象者
- 中小企業者(中小企業基本法に定義される中小企業)
- 小規模事業者
- 個人事業主も対象
- 既存事業を営んでおり、新たな事業分野に進出する計画を持つ事業者
主な申請要件
- 新事業であること:既存事業とは異なる新たな事業分野への進出(新分野展開、業態転換、事業転換、業種転換、事業再編等)
- 事業計画の策定:認定経営革新等支援機関と共同で策定すること
- 付加価値額の増加:補助事業終了後3〜5年で年率平均3.0%以上の増加
- 給与支給総額の増加:年率平均1.5%以上の増加
- 新規性の証明:既存事業との違いを具体的に説明できること
- GビズIDプライムアカウントの取得
2026年の公募スケジュール
| 公募回 | 公募開始 | 応募期間 | 採択発表 | 状況 |
|---|---|---|---|---|
| 第1回 | 2025年 | – | – | 終了 |
| 第2回 | 2025年9月12日 | 11月10日〜12月19日 | 2026年3月頃 | 終了 |
| 第3回 | 2025年12月23日 | 2026年2月17日〜3月26日 | 2026年7月頃 | 終了 |
| 第4回 | – | 2026年5月19日〜6月19日 | 2026年9月頃 | 受付予定 |
第4回公募(2026年5月19日〜6月19日)が現行制度での最後の公募となる可能性があります。2026年度にものづくり補助金と統合されるため、今回の公募を逃すと制度が大きく変わる可能性があります。申請を検討している方は、今すぐ準備を始めましょう。
申請の流れ
- GビズIDプライムアカウントの取得:申請に必須。取得に2〜3週間かかるため、今すぐ手続きを開始
- 認定支援機関を選定:税理士、中小企業診断士、金融機関等から、新事業進出の計画策定に強い機関を選ぶ
- 事業計画書の作成:新事業の内容、市場分析、競合分析、収支計画、付加価値額の増加見込みを具体的に記載
- 認定支援機関の確認:計画の実現可能性について認定支援機関の確認を受ける
- 電子申請(jGrants):必要書類を提出
- 審査・採択通知
- 交付申請・交付決定
- 補助事業の実施
- 実績報告・確定検査・補助金受給
AI・DXを活用した新事業進出の具体例
AI・DXを活用した新事業への進出は、この補助金の趣旨に非常に合致しやすい分野です。以下のような活用事例が考えられます。
業種別の活用例
- 製造業→AIサービス事業:製造技術を活かしたAI検品サービスの提供開始
- 小売業→ECプラットフォーム事業:DXプラットフォームを構築し、EC・SaaS事業に進出
- サービス業→AIサービス事業:AIチャットボット等を活用した新サービスの開発・提供
- 建設業→ドローン測量サービス:ドローン×AI測量による新サービスの立ち上げ
- 飲食業→フードテック事業:AI需要予測を活用したセントラルキッチン事業への進出
- 物流業→データ分析サービス:物流データを活用したコンサルティング事業の立ち上げ
申請で重視されるポイント
- AI・DXが「手段」であり、「新事業分野への進出」が目的であることを明確にする
- 既存事業との違い(新規性)を具体的に説明する
- 市場規模・ターゲット顧客・収益モデルを明確にする
- 付加価値額の増加見込みを数値で示す
- IT導入だけでは不十分で、新たな事業として収益を生む計画が必要
AI・DXを活用した新事業の計画策定については、AI活用で業務効率化する方法もあわせてご覧ください。
ものづくり補助金との統合について
2026年度から、新事業進出補助金はものづくり補助金と統合され、「新事業進出・ものづくり補助金」として公募が予定されています。統合後の制度の詳細はまだ発表されていませんが、以下の変化が予想されます。
- 申請枠・要件の再編
- 補助額・補助率の変更の可能性
- 審査基準の統合・変更
現行制度での申請を検討している方は、第4回公募(2026年5月19日〜6月19日)が最後のチャンスとなる可能性があります。統合後の制度を待つか、現行制度で申請するか、早めに判断しましょう。
申請を成功させる5つの戦略
1. 「新規性」を明確に示す
既存事業との違いが曖昧だと不採択になります。新たな市場、新たな顧客層、新たな技術の活用など、何が「新しい」のかを具体的に説明しましょう。
2. 市場調査を徹底する
進出先の市場規模、成長率、競合状況、自社の競争優位性をデータで示しましょう。「なぜこの市場に進出するのか」の説得力が採択率を左右します。
3. 実現可能な収支計画を作る
楽観的すぎる計画は審査員に見抜かれます。保守的なシナリオでも付加価値額年率3%増が達成できる計画を策定しましょう。
4. 認定支援機関は早めに相談
事業計画の策定には1〜2ヶ月かかることも。公募締切直前に駆け込まないよう、早めに認定支援機関に相談しましょう。
5. 賃上げ特例を活用する
地域別最低賃金引上げ特例を活用すれば、補助率が1/2から2/3にアップします。賃上げ計画と新事業進出をセットで計画しましょう。
関連する補助金制度
新事業への進出規模や目的に応じて、他の補助金も検討しましょう。
- 中小企業省力化投資補助金とは?:省力化設備の導入向け
- 中小企業成長加速化補助金とは?:1億円以上の大規模投資向け
- AI導入補助金【2026年版】:AI導入に特化した情報
- IT化に使える補助金2026年版:IT導入補助金の情報
まとめ
中小企業新事業進出補助金は、新たな収益の柱を構築したい中小企業にとって非常に有力な支援制度です。特にAI・DXを活用した新事業への進出は、審査で高く評価される傾向にあります。
第4回公募は2026年5月19日〜6月19日に受付予定です。2026年度のものづくり補助金との統合を控え、現行制度での最後の公募となる可能性があるため、申請を検討している方は今すぐ準備を始めてください。
GビズIDの取得、認定支援機関への相談、事業計画書の作成を並行して進め、万全の状態で申請に臨みましょう。AI・DXを活用した新事業の具体的な進め方は、中小企業のAI導入を成功させる完全ガイドもぜひ参考にしてください。
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